きらきらでかわいいまっしろ

「茉白ちゃんの周りでは流行ってないの?」

 翠ちゃんの大きくて丸い瞳に尋ねられる。

「流行ってはいるよ。でも学校ではまだ流行り始めたってとこかなぁ。小学生よりは遅れてるかも」

「そっか。中学生だもんねー。シールとかメモ帳とか使わない?」

「いや、そんなことないよ。かわいいものはつい集めたくなっちゃう」

「そうなんだ! やっぱり茉白ちゃんも分かってくれた」

 共感者が増えて嬉しいのか、翠ちゃんはいつもの明るい彼女に戻っているように見えた。でも、すぐにまた昨日「こわいものを見た」ということを思い出したのか、しゅんと肩を落として「その平成女児グッズがですね……」と続きを語り出した。

「わたしのクラスでも流行ってるんですけど、先週の月曜日に、クラスメイトの山田実里(やまだみのり)ちゃんって子に交換ノートを渡したんです。犬柄のかわいいやつ。わたしと実里ちゃんと、もう一人の友達と三人で回すことになったんですけど……」

 そこで翠ちゃんは一度、言葉を切った。
 もぞもぞと身体を揺すりながら、その先を話すかどうか、迷っているようだった。

「交換ノート? 懐かしいなぁ」

 はーちゃん先生が目を細めて呟く。“平成女児”だったはーちゃん先生は、昔お気に入りでとっておきのかわいい表紙のノートを交換ノートとして友達と回していたと教えてくれた。

「やっぱり先生の時もやってたんですね、交換ノート」

「うん、やってたよー。あれ、ちょっと面倒くさいんだけど交換ノートをやってる子たちとは謎の連帯感が生まれるんだよね」

「そうですそうです! わたしたちの間でもそんな感じでやってる子が多くて。でも……」

 翠ちゃんの声が不穏な響きを帯びる。私とはーちゃん先生は同時に「でも?」と声を上げた。

「ノートを貸した実里ちゃんが、次の日から学校に来なくなったんです」

「次の日から? 先週の火曜日からってこと?」

「はい……。先週、火曜日からずっと休んでて、おかしいなって思ったんです。担任の浦田(うらた)先生も、実里ちゃんの欠席連絡をする時、特に何も理由は言ってくれなくて。病気でのお休みなら、“インフルエンザでお休みです”って感じでいつもは教えてくれるんですよ」

「忌引きとか、家の用事ではなくて?」

 すかさずはーちゃん先生がつっこんだ。だがこれにも、翠はふるふると首を横に振った。

「忌引きの時も同じです。いつもちゃんと“忌引きでお休みです”って伝えてくれます。それなのに実里ちゃんの欠席の理由を言ってくれないから、クラスのみんな、いろんな噂をしてて」

「噂? どんな?」

 私は、クラスメイトが原因不明で休んでいる教室を想像する。一日や二日なら、体調不良なのかなと思うだろうが、四日以上続けば、それは——。