「これです。これが、わたしの持っている平成女児グッズです」
翌日、十月十二日月曜日の夕方、はーちゃん先生の自宅のレッスン部屋にて、翠ちゃんがトートバッグからたくさんの平成女児グッズを取り出して、ローテーブルの上に並べた。
缶のペンケースやデニム生地のシール帳なんかが特徴的だ。
「わあ、このカンペン懐かしい〜っ!」
缶ペンケースを手に取ったはーちゃん先生が、目を輝かせて微笑む。
ペンケースは開けると二段式になっているもので、上の段にはかわいい柄のトレー付き。翠ちゃんが持っているのは「きらららちゃん」という、星をモチーフにした女の子のキャラクターのイラストが描かれたものだった。
中にはこれまた平成柄の鉛筆や消しゴム、定規が入っていてまさに平成のファンシー文具そのものだった。
「これ、私が小学生の頃めっちゃ流行ったんだ。教室でさ、机から落としたら“ガシャン”って大きな音がしてうるさいの」
「分かります! わたしもつい先週、授業中に落としちゃってみんなから注目を浴びてしまいました」
「だよね。今の小学生と共感できるなんて、なんだか新鮮で嬉しい。二段になっててかわいいよねぇ」
平成女児グッズを前にして、乙女に戻るはーちゃん先生のほうが新鮮でかわいらしいと思った。
「ちょっと、全部見せてもらってもいいかしら?」
「はい、どうぞ」
はーちゃん先生が一つ一つの文房具を手に取りながら、スマホで何やら調べ始める。
「先生、何してるんですか?」
「製造元の会社と製造年を調べてるの。……ん?」
私が質問をした直後、さらさらとスマホの画面上で指を滑らせていた先生が、不思議そうに首を傾げた。
「どうしたんですか?」
「翠ちゃんが持ってきてくれた文房具の中で、ちょっと気になるものがあるの」
はーちゃん先生は不可解そうに眉を顰めながら、翠ちゃんがテーブルに並べてくれた文具たちを手に取った。
交換ノートと、シールが付いているA6サイズのメモ帳、そしてマジックライトペンだ。
マジックライトペンは、持ち手の部分のカラーが十色ある。とはいえ、マジックライトペンなので十色あっても意味ないのでは? と不思議だ。
「このマジックライトペン、なんでこんなにカラバリがあるんだろ? ライトで照らしたら、みんな同じ白い色が浮かび上がるんじゃないの?」
ふと思ったことを口にした。すると、翠ちゃんが「これは交換用なんですよ」と教えてくれた。
「交換というか、みんなに配る用かな? わたしは配らずにそのまま持ってるけど。いろんな色を持ってると楽しいから。配ったりコレクションしたりするために、十色あるんだと思う」
「ふうん、なるほど」
文房具を配ることで友達の輪が広がっていく——そういう戦略なんだろうか。
先生が気になると言ったのも、マジックライトペンのカラバリが豊富だってことなのかな。
私が気になってはーちゃん先生を見つめていると、先生は「この平成文具たちね」と口を開いた。
「一部の文具だけ、製造会社と製造年がおかしいの」
「製造会社と製造年がおかしい? どういうことですか?」
不可解なはーちゃん先生のセリフに、私と翠ちゃんが同時に首を捻った。
翌日、十月十二日月曜日の夕方、はーちゃん先生の自宅のレッスン部屋にて、翠ちゃんがトートバッグからたくさんの平成女児グッズを取り出して、ローテーブルの上に並べた。
缶のペンケースやデニム生地のシール帳なんかが特徴的だ。
「わあ、このカンペン懐かしい〜っ!」
缶ペンケースを手に取ったはーちゃん先生が、目を輝かせて微笑む。
ペンケースは開けると二段式になっているもので、上の段にはかわいい柄のトレー付き。翠ちゃんが持っているのは「きらららちゃん」という、星をモチーフにした女の子のキャラクターのイラストが描かれたものだった。
中にはこれまた平成柄の鉛筆や消しゴム、定規が入っていてまさに平成のファンシー文具そのものだった。
「これ、私が小学生の頃めっちゃ流行ったんだ。教室でさ、机から落としたら“ガシャン”って大きな音がしてうるさいの」
「分かります! わたしもつい先週、授業中に落としちゃってみんなから注目を浴びてしまいました」
「だよね。今の小学生と共感できるなんて、なんだか新鮮で嬉しい。二段になっててかわいいよねぇ」
平成女児グッズを前にして、乙女に戻るはーちゃん先生のほうが新鮮でかわいらしいと思った。
「ちょっと、全部見せてもらってもいいかしら?」
「はい、どうぞ」
はーちゃん先生が一つ一つの文房具を手に取りながら、スマホで何やら調べ始める。
「先生、何してるんですか?」
「製造元の会社と製造年を調べてるの。……ん?」
私が質問をした直後、さらさらとスマホの画面上で指を滑らせていた先生が、不思議そうに首を傾げた。
「どうしたんですか?」
「翠ちゃんが持ってきてくれた文房具の中で、ちょっと気になるものがあるの」
はーちゃん先生は不可解そうに眉を顰めながら、翠ちゃんがテーブルに並べてくれた文具たちを手に取った。
交換ノートと、シールが付いているA6サイズのメモ帳、そしてマジックライトペンだ。
マジックライトペンは、持ち手の部分のカラーが十色ある。とはいえ、マジックライトペンなので十色あっても意味ないのでは? と不思議だ。
「このマジックライトペン、なんでこんなにカラバリがあるんだろ? ライトで照らしたら、みんな同じ白い色が浮かび上がるんじゃないの?」
ふと思ったことを口にした。すると、翠ちゃんが「これは交換用なんですよ」と教えてくれた。
「交換というか、みんなに配る用かな? わたしは配らずにそのまま持ってるけど。いろんな色を持ってると楽しいから。配ったりコレクションしたりするために、十色あるんだと思う」
「ふうん、なるほど」
文房具を配ることで友達の輪が広がっていく——そういう戦略なんだろうか。
先生が気になると言ったのも、マジックライトペンのカラバリが豊富だってことなのかな。
私が気になってはーちゃん先生を見つめていると、先生は「この平成文具たちね」と口を開いた。
「一部の文具だけ、製造会社と製造年がおかしいの」
「製造会社と製造年がおかしい? どういうことですか?」
不可解なはーちゃん先生のセリフに、私と翠ちゃんが同時に首を捻った。



