「遅くなってすみません」
カフェに着くと、りおさんはすでに席に座っていた。赤いカーディガンに、黒い膝丈のフレアスカートを履いた、同い年くらいの女の子だった。髪の毛はさらさらストレートで、細いツインテールが胸のあたりまで伸びている。切れ長の目が特徴的な美人だった。肌が透き通るように白いので、赤いカーディガンがよく映えている。
「こんにちは。わざわざ横浜まで来てくださってありがとうございます。“すー”さんですよね?」
私たちに気づいたりおさんが、軽く立ち上がって会釈してくれた。にこやかな笑みを浮かべてくれて、見た目とのギャップに、思わずどきっとした。
「はい、あの、この子が“すー”です。私は茉白、こちらがはーちゃん先生です」
みんな、フルネームで本名を名乗る必要はないと思っていたので、いつもの呼び名で紹介することになった。翠ちゃんのことは今だけ「すー」と呼ばせてもらおう。
私の紹介を受けて、翠ちゃんとはーちゃん先生が「こんにちは」と挨拶をした。
「リプやDMでやりとりしていたのは私です。だますようなことしてごめんなさい」
「あ、いや、全然大丈夫です。どうぞ座ってください」
りおさんは私が翠ちゃんになりすましてメッセージを送っていたことは特に気に留める様子もなく、私たちに席に座るように促してくれた。
「私、飲み物だけ先に頼んじゃったんですけど、お昼だし何か食べますか?」
「そうですね。お腹空いたので食べましょう」
終始緊張気味の翠ちゃんの代わりに、私が中心になってりおさんと言葉を交わしていく。みんなでメニュー表を覗き込んで注文の品を決めた後、店員さんを呼んだ。
それぞれが飲み物とフードメニューを注文していく。ガッツリとした食事はなく、サンドイッチやホットドッグなんかが中心となったメニューだ。
注文を終えると、私は気になっていたことをりおさんに尋ねた。
「顔を合わせたばかりで申し訳ないんですけど、りおさんはおいくつなんでしょうか?」
「十五歳です。今、中学三年生」
一つ上だった。とたんにりおさんがお姉さんに見えてくる。大人になれば一歳差なんて誤差みたいなものだろうけど、中学生の私たちにとってはあまりにも大きすぎる差だった。
「私は中二なので、一つ先輩ですね」
「そうだったんですね。すーさんのほうは?」
「わ、わたしは小学五年生です」
挨拶のあと、初めてりおさんに話しかけた翠ちゃんはやっぱり緊張している面持ちで答えた。でも、瞳には「りおさんから話を聞きたい」という強い意志が宿っているのが分かる。
「聞かれる前に言っておくわね。私は、今二十九歳。二人のピアノの先生をしているの」
はーちゃん先生も負けじと自己紹介を始める。りおさんが「なるほど」と感心するように呟いた。
カフェに着くと、りおさんはすでに席に座っていた。赤いカーディガンに、黒い膝丈のフレアスカートを履いた、同い年くらいの女の子だった。髪の毛はさらさらストレートで、細いツインテールが胸のあたりまで伸びている。切れ長の目が特徴的な美人だった。肌が透き通るように白いので、赤いカーディガンがよく映えている。
「こんにちは。わざわざ横浜まで来てくださってありがとうございます。“すー”さんですよね?」
私たちに気づいたりおさんが、軽く立ち上がって会釈してくれた。にこやかな笑みを浮かべてくれて、見た目とのギャップに、思わずどきっとした。
「はい、あの、この子が“すー”です。私は茉白、こちらがはーちゃん先生です」
みんな、フルネームで本名を名乗る必要はないと思っていたので、いつもの呼び名で紹介することになった。翠ちゃんのことは今だけ「すー」と呼ばせてもらおう。
私の紹介を受けて、翠ちゃんとはーちゃん先生が「こんにちは」と挨拶をした。
「リプやDMでやりとりしていたのは私です。だますようなことしてごめんなさい」
「あ、いや、全然大丈夫です。どうぞ座ってください」
りおさんは私が翠ちゃんになりすましてメッセージを送っていたことは特に気に留める様子もなく、私たちに席に座るように促してくれた。
「私、飲み物だけ先に頼んじゃったんですけど、お昼だし何か食べますか?」
「そうですね。お腹空いたので食べましょう」
終始緊張気味の翠ちゃんの代わりに、私が中心になってりおさんと言葉を交わしていく。みんなでメニュー表を覗き込んで注文の品を決めた後、店員さんを呼んだ。
それぞれが飲み物とフードメニューを注文していく。ガッツリとした食事はなく、サンドイッチやホットドッグなんかが中心となったメニューだ。
注文を終えると、私は気になっていたことをりおさんに尋ねた。
「顔を合わせたばかりで申し訳ないんですけど、りおさんはおいくつなんでしょうか?」
「十五歳です。今、中学三年生」
一つ上だった。とたんにりおさんがお姉さんに見えてくる。大人になれば一歳差なんて誤差みたいなものだろうけど、中学生の私たちにとってはあまりにも大きすぎる差だった。
「私は中二なので、一つ先輩ですね」
「そうだったんですね。すーさんのほうは?」
「わ、わたしは小学五年生です」
挨拶のあと、初めてりおさんに話しかけた翠ちゃんはやっぱり緊張している面持ちで答えた。でも、瞳には「りおさんから話を聞きたい」という強い意志が宿っているのが分かる。
「聞かれる前に言っておくわね。私は、今二十九歳。二人のピアノの先生をしているの」
はーちゃん先生も負けじと自己紹介を始める。りおさんが「なるほど」と感心するように呟いた。



