きらきらでかわいいまっしろ

「こんにちは」
 
 朗らかに挨拶をしてくれたのは、四十歳ぐらいの背の高い女性だった。実里ちゃんのことを知らない私にとってはまったくの赤の他人なので、なんだか不思議な気分だった。
 三人で一斉に「こんにちは」と頭を下げる。その一挙手一投足をじっと見つめられているような気がして、なんだか居心地が悪かった。

 顔を上げて実里ちゃんのお母さんの表情を見ると、背中にひゅっと冷たい風が吹いたような心地がした。なぜなら、彼女の顔は確かに笑っているのに、目の奥は完全に冷めているように感じたからだ。にこやかな笑みを貼り付けたロボットのような無機質さに、私は心の中で悲鳴を上げた。
 他の二人はどう感じているんだろう——気になって、横目で二人を見やる。はーちゃん先生は真顔で実里ちゃんのお母さんを見つめていた。心の中では私と同じことを感じていそうだが、考えていることをあえて表情に出さないようにしているみたいだった。
 一方翠ちゃんは、どこか怯えた様子で唇を震わせている。彼女も同じなのだと悟る。でも、実里ちゃんのクラスメイトという手前、お母さんには怯えていることを悟られないように必死で隠している——そんな感じだ。

「突然お邪魔して申し訳ありません。実里ちゃんのお母様でしょうか?」

 大人のはーちゃん先生が平静を装って尋ねる。

「はい、そうです。山田実里の母です」

 感情のこもらない、機械的な声だと思った。でも、声に起伏がない人はいくらでもいるから、単にそういう人なのだと思い込もうとした。

「そうですか。先ほどもお伝えしたのですが、実里ちゃんが二週間ほど学校を休んでいらっしゃるのを、クラスメイトの羽沢さんが心配しているのですが、お風邪か何かでしょうか?」

「いえ、風邪ではありません」

 なんだろう……おかしなことを言っているわけではないのに、実里ちゃんのお母さんの血の通っていないような返事に、薄ら寒さを覚えた。
 それに、こうして押しかけておいてなんだが、てっきり家に上げてもらえると思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。実里ちゃんのお母さんは、あくまで玄関で話を済ませたいようだった。

「じゃあ、ご家庭の事情でしょうか? 学校に行きたくない事情があるとか……?」

 はーちゃん先生が訝しげに様々に質問をしていく。納得のいく答えがほしいのだ。はーちゃん先生だけでなく、私も翠ちゃんも、実里ちゃんが長い間学校を休むに足る理由を聞くことができれば、それで十分だった。

「いえ、違います」

 実里ちゃんのお母さんがカク、カク、と首を横に振る。からくり人形のような首の動きに、思わず息をのんだ。

「はあ。それでは、どうして実里ちゃんはお休みしているのでしょうか。その、私たち、純粋に実里ちゃんのことを心配しておりまして。まったくの赤の他人である私が申し上げるのもなんですが、クラスメイトの子がこうして心配するほど気になっているんです。実里ちゃんは今ご自宅にいますか? 実里ちゃんに会うことはできますか?」