きらきらでかわいいまっしろ

 五日ほど前はまだ夏の暑さが続いていたというのに、季節はいつのまにか秋になり、空が高く澄み渡る十月を迎えた。
 先日、翠ちゃんから友達の実里ちゃんが学校に来なくなったという話を聞いてから、ついに彼女から連絡が来ることはなかった。
 連絡がなかったということは、実里ちゃんはまだ学校に来ていないということ。
 本当にどうしたんだろう。通常の発熱程度で二週間も休むのは考えにくい。たとえば大きな病気をしていて入院しているとかなら、あり得る話だろう。会ったことのない子だが、母性本能がくすぐられているみたいに、顔も知らない彼女のことが心配になった。

 約束をしていた土曜日の十三時、はーちゃん先生と、翠ちゃんが通っている岡崎北(おかざききた)小学校の前で翠ちゃんを待っていた。はーちゃん先生はジーパンに白いブラウスというラフなスタイルをしている。普段はロングスカートでしっとりとした服装をしていることが多いので、今日のはーちゃん先生はフットワークが軽めに見えて新鮮だ。

「茉白ちゃんどうしたの? 先生の顔に何かついてる?」

「いや、そうじゃなくて。外で先生に会うのが初めてだから、珍しいなと思って」

「そう言われてみればそうね。茉白ちゃんはいつもと変わらないね」

 先生の言うとおり、私は普段から着ている膝丈のスカートにTシャツを合わせていた。動きやすく、中学生らしい格好ではある。
 はーちゃん先生ととりとめのない話をしながら翠ちゃんを待っていると、翠ちゃんが遠くからパタパタと駆けてくるのが見えた。

「遅くなってごめんなさい。お母さんに何をしにいくのかってしつこく聞かれちゃって」

 はあはあと肩で息をしながら私たちの前で呼吸を整える翠ちゃん。お母さんのことは大丈夫だったのだろうか。

「はーちゃん先生と茉白ちゃんと遊ぶだけだって言ったから、大丈夫です!」
 
 私の心の声が聞こえたかのように、汗の滲む顔に笑みを浮かべる翠ちゃん。どこか無理をしているような表情だったが、それ以上つっこむ気にはなれなかった。

「全然遅れてないから安心して。早速実里ちゃんの家に行きましょうか」
 
 はーちゃん先生が翠ちゃんの背中をポンと押して、前に進むように促す。こういう時、はーちゃん先生みたいな大人の人がいてくれて良かったと思う。自分よりうんと人生経験の豊富な大人の言うことを聞いておけば大丈夫だというような気がするから。
 翠ちゃんも安心したのか「はい」と神妙に頷いてから、住宅街に向かって歩き出した。