きらきらでかわいいまっしろ

「分かった。ひとまず翠ちゃんも実里ちゃんのことをよく知らないならさ、まずは実里ちゃんのことを知るところから始めなきゃいけないね」

 私がそう提案すると、はーちゃん先生も「そうね」と頷いた。

「とりあえず、今週実里ちゃんが学校に来るか確認して、来なかったら週末にでも実里ちゃんの家を訪ねてみない?」

「えっ、またあの家を……?」

 翠ちゃんの瞳が不安げに揺れる。それもそうだろう。昨日、白い影を見たという実里ちゃん宅に再び赴かなければならないのは、気が重いことだと推測できた。

「うん。実里ちゃんのお父さんかお母さんがいたら、何か教えてくれるかもしれないでしょ? もし翠ちゃんがこわいなら、私とはーちゃん先生で行くから無理して来なくても大丈夫だよ」

 はーちゃん先生の予定を聞かずに勝手に彼女を頭数に入れていたが、先生は特に否定することなく私の話を黙って聞いてくれていた。
 翠ちゃんは最初、もじもじと身体をゆすってどうするべきか考えているようだったが、やがて唇をぎゅっと噛んだあと、決意を秘めたまなざしで私を見つめた。 

「いや……わたしも行く」

 その力強い返事を聞いて、私はぽっと胸が熱くなった。

「大丈夫? 無理しなくていいんだよ」

「大丈夫。だって次は茉白ちゃんとはーちゃん先生も一緒なんだよね。三人いればこわくないと思う」

「そっか。それなら決まりだね」

 まだ小学生だけれど、あと一年半すれば翠ちゃんも私と同じ中学生になるんだ。
 翠ちゃんが自ら大人の階段を上ろうとしているのを感じて、私ははーちゃん先生と顔を見合わせてふっと微笑んだ。

「了解。でももし途中でこわくなったらいつでも降りていいからね。他にもできることはあると思うし」

「ううん、最後まで一緒にいる。もとはと言えば、わたしが蒔いた種だから」

 “わたしが蒔いた種”だなんて、小学生の口から出てくる言葉とは思えなくて思わず笑ってしまった。

「そうと決まれば、今週末の土曜日、お昼頃集合するのでもいいですか?」
 
 私は主にはーちゃん先生に向かって尋ねる。

「ええ、いいわよ。その日は夕方から一人レッスンが入っているだけだから」

「ありがとうございます! 翠ちゃん、もし明日以降で実里ちゃんが学校に来たら連絡して。その場合はお宅訪問をしなくて良くなるから」

「分かった! その時は連絡するね」

 無邪気に返事をする翠ちゃんを見て、ようやくほっと心が和らぐ。 
 
「さあ、あと十五分しかないけどレッスンしましょうか」

「「はーい」」

 私と翠ちゃんが仲良く返事をすると、連弾の練習を始めた。十二月の発表会で、二人で弾く予定なのだ。翠ちゃんの高音が、いつも通り軽快に鳴り響く。はーちゃん先生も安心した様子で私たちの演奏を聴いていた。