時をかけた騎士と紅蓮の館の白き魔女

「実際に見ると、テオドラ姫はシャロンとあまり似てないな」

 居間に移動しシャロンが何か次々と作業をこなすと、ようやくジェイクの隣に腰を下ろす。そんなシャロンの髪を撫でながらジェイクがマジマジと顔を覗き込むと、彼女はクスッと笑った。

「そう? そうかも。テオドラは綺麗だったでしょう」

 自慢だと言うように胸を張るシャロンに、ジェイクは少し首を傾げる。

「いや、シャロンのほうが綺麗だなって」

 テオドラは確かに美しい姫君だが、本音を言えば故国でもよくいるような美姫達とそう変わりがない。

「ジェイク、目が悪くなったのっ?」

「なんでそんなに驚く? ぼくの目はすごくいいけど」

「ええぇ」

 ――なぜ不満そうなんだ。シャロンは自分が光り輝くように美しい自覚がないのか?

 ジェイクは心底不思議に思いつつ、彼女を抱きしめてその頭の上に顎を置く。

「じゃあ言い変える。ぼくの目には、君がこの世で一番綺麗に見える」
「〜〜〜っ」

 何か言ってるようだが無視することにすると、ミネルバから何かを聞いていたゼノンがクスクス笑いながら戻ってきた。

「カロン姫、私も妻のエルザをこの世で一番美しいと思っていますよ。つまり、そういうことです」

 にっこり微笑むゼノンを見たシャロンは、

「マッケラン様がそう仰るなら」

 と恥ずかしそうに頬を染めて微笑んだ。

 なぜ自分の言葉は信じないのに? と、ジェイクが不思議に思っていると、シャロンはエルザとゼノンは理想の夫婦だからと教えてくれた。