シャロンが気を取り直すように明るく言うと、ゼノンとエルザは黙って頷いた。だがロイが何か問おうとするのを察し、人差し指を自分の唇に当てる。
「今から精霊のもとに向かいます」
その言葉にロイが紅蓮の館を思い浮かべただろうことは分かったが、なぜなのか疑問は深まったのだろう。首をかすかに傾げ、物問いたげにジェイクとシャロンを見た。
「殿下、詳しいことは後程説明しますが、貴方が必要なのです」
シャロンは今魔法を使っていないが、真摯なその目にロイは頷いた。
「ここから精霊の力で道ができてます」
シャロンの言葉に、エルザがゾッとしたように息を飲む音が聞こえた。四阿の向こうは見た目が急な崖なのだ。補助があると説明しても恐ろしいだろう。
今日は安全を示すためにも自分で降りてみようかと考えてみたが、ジェイクが伺うように見ていることに気づき、素直に甘えることにした。両手を差し出すとヒョイとジェイクに抱き上げられる。そのわずかな間に一瞬抑えきれないと言った風にジェイクが笑ったのを見て、その無邪気さにシャロンの胸の中が愛しさではちきれそうになった。子どもみたいで、なのに立派な大人の男で、本当に本当に――大好き。
そう、ゼノンは謝る必要なんてないのだ。
あれは不幸な事件だけど、シャロンが彼に出会うために必要だったこと。ただそれだけなのだから。
ジェイクがそばにいれば大丈夫。
彼はシャロンの持つ悪夢とだって一緒に戦ってくれる。彼が言ったように、二人一緒なら何でもできると、今は素直に信じることが出来る。
高くなった視界からゼノンたちを見て微笑むと、その想いが通じたのか二人が頷き返してくれた。エルザの目にふっと涙が浮かび、その口元に笑みが浮かぶ。
下に降りるのに手伝いが必要かと問おうとしたジェイクにゼノンは首を振った。
ジェイク同様妻を抱き上げ「姫を信じておりますので、ご心配なく」と快活に答え、ロイも「問題ない」と肩をすくめる。
「むしろ姫は私が連れて行ってもいいんだぞ」
手持ち無沙汰だからなどとのたまうロイの軽口に、シャロンはフフッと笑った。それを見てロイの顔に切なげな色が浮かんだが、彼のために見なかったことにする。
彼は今は混乱しているだけ。そう、それだけなのだから。
「今から精霊のもとに向かいます」
その言葉にロイが紅蓮の館を思い浮かべただろうことは分かったが、なぜなのか疑問は深まったのだろう。首をかすかに傾げ、物問いたげにジェイクとシャロンを見た。
「殿下、詳しいことは後程説明しますが、貴方が必要なのです」
シャロンは今魔法を使っていないが、真摯なその目にロイは頷いた。
「ここから精霊の力で道ができてます」
シャロンの言葉に、エルザがゾッとしたように息を飲む音が聞こえた。四阿の向こうは見た目が急な崖なのだ。補助があると説明しても恐ろしいだろう。
今日は安全を示すためにも自分で降りてみようかと考えてみたが、ジェイクが伺うように見ていることに気づき、素直に甘えることにした。両手を差し出すとヒョイとジェイクに抱き上げられる。そのわずかな間に一瞬抑えきれないと言った風にジェイクが笑ったのを見て、その無邪気さにシャロンの胸の中が愛しさではちきれそうになった。子どもみたいで、なのに立派な大人の男で、本当に本当に――大好き。
そう、ゼノンは謝る必要なんてないのだ。
あれは不幸な事件だけど、シャロンが彼に出会うために必要だったこと。ただそれだけなのだから。
ジェイクがそばにいれば大丈夫。
彼はシャロンの持つ悪夢とだって一緒に戦ってくれる。彼が言ったように、二人一緒なら何でもできると、今は素直に信じることが出来る。
高くなった視界からゼノンたちを見て微笑むと、その想いが通じたのか二人が頷き返してくれた。エルザの目にふっと涙が浮かび、その口元に笑みが浮かぶ。
下に降りるのに手伝いが必要かと問おうとしたジェイクにゼノンは首を振った。
ジェイク同様妻を抱き上げ「姫を信じておりますので、ご心配なく」と快活に答え、ロイも「問題ない」と肩をすくめる。
「むしろ姫は私が連れて行ってもいいんだぞ」
手持ち無沙汰だからなどとのたまうロイの軽口に、シャロンはフフッと笑った。それを見てロイの顔に切なげな色が浮かんだが、彼のために見なかったことにする。
彼は今は混乱しているだけ。そう、それだけなのだから。



