「大丈夫です。一番辛いところを超えました。少し休めば元気になりますから、目が覚めたら何か消化のいいものを食べさせてください」
いらないと言ってもしっかり食べさせてくださいと冗談ぽく伝えると、エルザはもちろんだと快諾した。
「あの――ライクストン様は……」
色々聞きたいことがあるのだろう。だがエルザはそこで口をつぐむと黙って一礼した。ジェイクも一礼して、ロイに声をかけ会場に戻ることにする。
まもなく後半戦が始まるのだ。
「ジェイク……」
ロイの呼びかけに、ジェイクは一瞬天を仰ぐ。シャロンはロイの前で自分の声に特殊な音を織り込んだ。その声はエルザたちにも届いていたことだろう。集中力がいるそれをあえて行ったことを考え、ロイに笑いかける。
「今は何も聞くな。多分もうすぐ分かる」
今言えることはただ一つ。
「彼女は渡さないよ。絶対に」
ジェイクの笑みに凄みが増すのを見て、ロイは肩をすくめた。
「あんなのを見せつけられて、割込めると思うわけないだろ」
長年連れ添った夫婦かよとのツッコミに、ジェイクは首を傾げる。
「別にいちゃついてたわけじゃないだろ」
付き合いだけなら、ジェイクにとっては十八年だが。
「いちゃつかれてたほうがマシだ。それに……」
「それに?」
「……いや、なんでもない」



