時をかけた騎士と紅蓮の館の白き魔女

 夢、それは夢――。

 白いタキシード姿の男に女がぽーっと見とれていると、男は面白そうに笑った。

「どうした? 夢でも見てるような顔になってるぞ」

 からかうような口調に、女は少し口をとがらせる。

「仕方がないじゃない。ドレスアップした男性って、それだけで見惚れる価値があるのよ」

 女の正直な感想に虚を突かれたのか、男は一瞬キョトンとしたあと、とろけそうな笑みを浮かべた。そのまま女の腰に手を回し引き寄せると、じっとその目をのぞき込む。

「それは同じことが言えるな。ドレスアップした女性には見惚れる価値がある。見せびらかして歩きたいと同時に――隠して誰にも見せたくないと思うね」

 男に熱のこもった声に、女は赤くなってうつむいた。

「新婚旅行、楽しみね」

 ドギマギしながら式の後旅立つ先に話題を移すと、男は胸を張ってニヤリと笑った。

「船の出来は完璧だ。きっと驚くぞ」

 男が一から手掛けた船で行く最初の旅。憧れの新天地。

 ――この時は、ただ幸せだった。この人とずっと一緒にいられる。そのことが大切で尊くて。

「――愛してるよ。〇〇〇〇」

「ええ、私も」


 ――生まれ変わっても、きっと私はあなたを見つけるわ。

 たとえあなたが私を忘れても、時や距離が二人を隔てても、私は何度でもあなたを見つけて、きっとまた恋をするわ。絶対に……。
 その時あなたが別の人を選んでいても構わない。
 あなたが生きて幸せならば、それでいいの。あなたが笑顔でいられるならそれだけでいい。それだけでいいのよ、〇〇〇〇……。