何事もなかったかのように無事誕生祝の宴は終わり、すべての祭りが終わった。港は岐路につく人々であふれ、二、三日のうちに国は通常の静けさを取り戻すことだろう。
テオドラ姫はイズィナ国のロイ王子と婚約をした。
人々の記憶の中では、親善試合で祝福の口づけをされたのは、最優秀選手であるジェイクの主、ロイ王子なのだ。
カロン姫など、最初からどこにもいなかった――。
「それでいいの?」
自身の墓を見せてくれたシャロンにジェイクが問うと、彼女はにこっと笑う。
「いいのよ。末の姫の墓はここにあるし」
「でも、この中に君はいない」
中に収められているのは、テオドラが隠し持っていたカロンの髪飾りだけ。
「だって、家族は私をカロンだとすでに受け入れてくれてるし、それで十分じゃない? それともジェイクは、やっぱりカロン姫のほうが好き?」
ちょっと唇を尖らせるシャロンに思わずドキリとする。
自分自身に焼きもちを焼いている彼女は、思わず目のやり場に困るほど可愛くて、それでいて妙に色っぽくて困るのだ。
「ぼくが好きなのは君だよ、シャロン」
そう言ってポケットから小さな箱を出し、彼女に差し出す。
開けるように促すと、中にはジェイクが綴ってきたシャロンへの手紙が収まっていた。彼女の手紙のように薄くて小さい紙につづった手紙は、小さな本のようにまとめられている。
「これは……」
中を数枚続けて見たシャロンの目に涙が浮かぶ。
「君への手紙の返事。今まで聞いてくれたのはデュランだけだったけど、ようやく本人に渡せた」
「うれしい……」
声を詰まらせる彼女の額に口づける。
「イズィナの習慣に則り、それをぼくの心として受け取ってくれるかい?」
求婚相手である女性に己の大事なものを贈る。それは命を預けるに等しい、あなたは自分の命だという証。
「ええ、もちろん。もちろんよジェイク!」
幸せそうに微笑む彼女の頤を指でつまみ、ジェイクは自分の妻になる女性にそっと唇を重ねた。
テオドラ姫はイズィナ国のロイ王子と婚約をした。
人々の記憶の中では、親善試合で祝福の口づけをされたのは、最優秀選手であるジェイクの主、ロイ王子なのだ。
カロン姫など、最初からどこにもいなかった――。
「それでいいの?」
自身の墓を見せてくれたシャロンにジェイクが問うと、彼女はにこっと笑う。
「いいのよ。末の姫の墓はここにあるし」
「でも、この中に君はいない」
中に収められているのは、テオドラが隠し持っていたカロンの髪飾りだけ。
「だって、家族は私をカロンだとすでに受け入れてくれてるし、それで十分じゃない? それともジェイクは、やっぱりカロン姫のほうが好き?」
ちょっと唇を尖らせるシャロンに思わずドキリとする。
自分自身に焼きもちを焼いている彼女は、思わず目のやり場に困るほど可愛くて、それでいて妙に色っぽくて困るのだ。
「ぼくが好きなのは君だよ、シャロン」
そう言ってポケットから小さな箱を出し、彼女に差し出す。
開けるように促すと、中にはジェイクが綴ってきたシャロンへの手紙が収まっていた。彼女の手紙のように薄くて小さい紙につづった手紙は、小さな本のようにまとめられている。
「これは……」
中を数枚続けて見たシャロンの目に涙が浮かぶ。
「君への手紙の返事。今まで聞いてくれたのはデュランだけだったけど、ようやく本人に渡せた」
「うれしい……」
声を詰まらせる彼女の額に口づける。
「イズィナの習慣に則り、それをぼくの心として受け取ってくれるかい?」
求婚相手である女性に己の大事なものを贈る。それは命を預けるに等しい、あなたは自分の命だという証。
「ええ、もちろん。もちろんよジェイク!」
幸せそうに微笑む彼女の頤を指でつまみ、ジェイクは自分の妻になる女性にそっと唇を重ねた。



