何度だってあなたを好きになる~時をかけた騎士と紅蓮の館の白き魔女~

 それは、かつて魔女である少女がジェイクに教えてくれたこと。

「昔はね、すべての人が魔女だったのよ」

 得意げな口調がなんだかおかしくて、ジェイクは笑いをこらえるのが大変だったことを覚えている。

「昔の人は、みんな女の人だったってこと?」

「ちがうわ。男の人も、魔法が使える人を魔女と呼んだの」

「変なの」

「そうよね、変だよね?」

「でもそしたら、ぼくも魔法が使えたのかな」

「そうね。使えるかも。ねえ、ジェイク。私思ったんだけど、もしかしたら、みんな魔女の子孫なんじゃないかしら。試してみましょうよ、あなたにも使えるのか。ね?」


 ――そう。かつて人はすべて魔女で、魔法は誰にでも使えたんだ。

   ◆

 森を出たところで木陰に寝そべっていた大型犬は、森から出てきた主人である少年を見つけると、立ち上がりバサバサと尻尾を振った。その姿を見てパッと顔を輝かせたジェイクは、駆け寄ってその首に飛びつく。

「デュラン、会えたよ。前よりも半年も早く彼女に会えたんだ!」

 あふれる興奮を抑えるように低くささやく声。
 それは十歳という年齢の割に大人びた印象だが、今は彼の愛犬と二人きり。ほかには誰もいない。彼はジェイクの友で弟で、唯一彼の秘密を知るものだ。

 今のジェイク・ライクストンは十歳で、かつての自分をとても愚かな男だったと思っている。なぜなら――

十八(・・)にもなって、しかも失ってからやっと気づくとか、愚か者以外の何者でもないだろう。なあデュラン、呆れるだろ? あのころのぼくは、本当に大事なものが何もわかっていなかったんだ――」