鏡のはざま〜向こうの世界の君と〜




お父さん……。


多分もう会えることは1回しかできないし、もう戻ることも……できなくなってしまったのかな……?


そのことは、ハルのお父さんに言われていたけれど、あまり現実味をもてていなかった。


だからといって信じてなかった。

ホントのことを言ってくれていたのに。

でも、でも。私はもうお父さんには……。


「グズっ。」


一瞬私が無意識に鼻をすすったのかと思った。でも私じゃない。きっと……


「ママ。」

「ア、キ。分かっていたのよ。分かって……。」


今、ママにかける言葉は何なのだろう。


今、ママに言って1番気を楽にできる言葉って……なんだろう。

ママはきっと、現実を見せられて、悲しんでしまっているんだ。それは……私も。


私も悲しいよ。だって、お父さんが……もう。


それでも泣かないようにグッって堪えてる。

「ママ、私も、悲しいよ。」


ママは一瞬驚いていたけれど、まぁそうだよね。みたいな顔をする。

「ママ、私さ、お父さんともう1回、もう一回だけ会えるの。だからさ、手紙一緒に書こ?」

「うん。そう、だね。ありがとう。アキ。」

「きっと、また。きっと……ね?」

「そうだね?たとえ、もう会えなくっても、頑張らなきゃ、だよね?」

「うんっ!」

「でも悲しい気持ちはそのまんまでいいと思うよ?」


「そう、だね。」

その言葉を言った瞬間、私たちは顔を見合せて笑って、同時に涙を流した。


私は両方助けるなんて、ヒーローなことはできないけど。

それでも、そのことを踏み台にして、成長しなくては行けないんだ。


私たちは、いくら悲しくても。


前を向かなければ行けないんだ。