鏡のはざま〜向こうの世界の君と〜



──でもその楽しい瞬間はそんなに続かなかった。

cherrycheckの最後の部分。

『好きだよ』

というセリフ。

その時に思いをファンになってくれている人に、ありがとうという思いを伝えるため。

沢山の感情を込めて言おうとしたらしい。


その心構えは素晴らしい。

ファンも喜んだだろうな。

私はそう思っていた。


そうして純花ちゃんが言った。


『好きだよ』


その瞬間、みんなは一瞬何が起こったのか分からなくなってしまったように一瞬、一瞬だけ静まった。


あ、あれ?反応微妙だった?と思っていると、

キャー!好きだよー!一生ついて行くー!という声が沢山聞こえてきた。


その中に純花ちゃんは聞こえたのだ。

『すみー!これからもよろしくね!』


という声が。


すみという人は1人しかいない。

雪夜だ。

いつも感情をあまり表に出さないのに、よろしくって大声で言ってくれて。これからもって言ってくれて。


とっても嬉しくなったんだって。


そのまま純花ちゃんは言った。

『今日はありがとう!人生で1番楽しかったよー!』

って。

そのまま純花ちゃんは舞台袖にはけた。

ファンサというものをしながら。

もちろん雪夜くんにも。


特別扱いって言われるもしれない。でも好きなんだ。

でも、その時、事件は起きた。