愛佳が欲しい絵本を持ってきたので私も欲しい雑誌を持ってレジへ向かった。


愛佳が買った絵本を握り締めて自動ドアに急いで走って行く。


『愛佳ー!危ないよ!待ちなさい!』


私の声に振り返り可愛い笑顔を向ける。


「ママー!早くー!」


そう言った時に愛佳の手から絵本が落ちて自動ドアが開き歩いて来た男性が絵本を拾ってくれた。


私は走って愛佳の元に行き拾ってくれた男性に御礼を言った。


『すみません。拾って頂いて』


「いえ。元気なお子さんですね」


私は下げた頭を上げ男性の顔を見た。


男性も愛佳から私に視線を向けお互いに目を見開いた。


こんな偶然があるのだろうか?





『………由佳』


『………健太』




私達は同時にお互いの名前を呟いた。