私の従者は…

迎えた大学入学の日。
その数日前の夕食時、初めて旦那様からお嬢様に婚約についての話が出た。
「いよいよ凛も大学入学だな。ここで話しておきたい事がある」
「なんですか?」
「こんな事はできれば言いたくないのだが、凛にも西園寺家の人間として話しておくべきだと思ってな。凛の人生の伴侶についてだ」
そう聞いた途端、お嬢様は息を呑んだ。
「もちろん私は凛の意思を尊重するつもりだ。でもこれだけは知っておいてくれ。すでに婚約者候補は見繕ってある。もしこの先、良い出会いがなければ見合いも考えてみてくれ」
「はい…」
どう思ったのかは分からないがお嬢様はそう静かに答えた。
大学の入学式ではお嬢様が新入生代表の挨拶をする。
式には顔見知りも何人かはいたものの大学とだけあって高校よりも外部生が多い。
私達の事は古くからの学生は分かっているが外部からの学生は知らないだろう。
(警戒しなければ…!)
そう思っていた矢先にお嬢様は唐田慎太郎という外部生に出会った。
最初からお嬢様に馴れ馴れしく話しかけている。
私は最低限の挨拶だけしてお嬢様を引き剥がした。
お嬢様は呑気にして今日の事を親に報告しろなどと言う。
今までもお嬢様と接触する人間は秘密裏に調べてきた。
お嬢様はそんな事しなくてもいいと言うが今回も調べるつもりだ。