桜とヴァンパイア

入院の際母から荷物になるから置いていきなさいと、どうせどこにも行けないのだからと皮肉を言われたことを思い出す

あなたは絶対に助かるんだからとホスピスに行くことをずっと反対していた母
 ヒステリックな物言いをする母とこのまま一緒にいるのが耐えれなかった
なかば逃げるように手続きをした


傘が役に立ったよと母に今度伝えたらどんな顔をするだろう


もう随分母とは会えていない


病気になってからというもの、学校もほとんど行けなくなった

おかげでたまに行くと自分の席も分からずクラスメイトの名前も分からない

大抵桜の席は窓側か廊下側の一番後ろに用意されていた

なぜか花が飾ってある

きっと気を遣ってのことだと思う
けれど
机に置かれた花を見るたびにグサリと心に杭を打ちこまれるように苦しかった


まだ私は生きているのに

腫れもの扱いされるのもいやだった
澄まし顔で過ごすけれど、話しかけてくれる人も、話したい人も、友人だと思っていた人も、いつのまにか誰一人いなくなっていた

まるで透明人間になった気分だった