初恋の思い出

今まで一緒に遊んでいた男の子達とは違って、話しかけても「あぁ」とか「うん」とかしか返事をしない大人しい子だった。


「ねぇ、今日も一緒に散歩しようよ」

松葉杖をつきながら、私は青木くんに声をかける。

「あぁ」

腕を骨折した青木くんは、特に表情も変えずに歩き出す。

病院の中庭に出ると、わたしは四つ葉のクローバーを探し始める

「ねぇ、青木くん、四つ葉のクローバーあるかな?」

「シロツメクサだよ」

「ふーん、そうなんだ。あ、じゃあ、これは?」

クローバー探しを早々に止めると、私は近くに咲いていた紫色の花を指差して問いかける。花の名前を教えてくれるだろうと、ワクワク期待していた。

「シラン!」

「は⁇ そんな言い方しなくてもいいじゃない!」


私はプイッと顔を逸らして、不貞腐れて松葉杖を激しくつきながら歩くだす。

「なによ、あんな言い方しなくても、あ!」


地面についた松葉杖がズリッと滑り、バランスを崩して転倒した。

「あいちゃん‼︎ 大丈夫⁉︎ あらあら、待ってね、今汚れ落とすからね、ほら、痛いの痛いの飛んでいけー、もう大丈夫」