ライバルがユーレイなんて聞いてない!



 え、そうじゃないの?
 花火大会なのに?


「いや、花火も楽しみだけど、それだけじゃないの」


 それだけじゃない?


「私、小日向に会えるのが楽しみだったの」

「えっ」


 俺に……?


「夏休みだと、なかなか会えないから」


 そういった矢野さんの横顔は、ほんのり赤く染まっているように見えた。
 屋台の灯りに照らされているだけかもしれないけど。


「えっと……」


 これって、そういう意味なのかな?

 もしかして矢野さん、俺のこと……?


「体育祭の時はありがとう」

「えっ」

「ケガはすっかり良くなったから。リレーの時も逆転してくれて……虹架もすごく喜んでたから改めてお礼言いたかったの」

「虹架ちゃんも? えへへ……そっかぁ」


 親友の矢野さんからそう言ってもらえるの、すごくうれしいな……。


「……小日向って虹架のこと、名前で呼んでた?」

「あっ!! いやっ、まちがえた!」


 俺のバカ! つい名前で呼んじまった!


「ちがうんだ、その……今のはなんていうか」


 心の中では虹架ちゃんって呼んでます、なんて言ったらキモがられるに決まってる!

 なんて言いわけすればいいんだ!?


「……やっぱり、虹架のことが好きなんだ」

「えっ? 今なんて?」


 周りがザワザワしてて、矢野さんの声がよく聞こえなかった。


「おーい! 凪砂〜! 小日向く〜ん!」