コトドリ様

「だってそうとしか思えない! あの子は森の中でいなくなったんだから!」
必死になって訴えかけてくる梢に、もうなにも言えなくなってしまった。
梢の意見を否定すればまたパニックのようになってしまう。
「ねぇ葵、あの大学生が出てくるまで待って話を聞こうよ。きっとコトドリさまについて知ってることがあるはずだよ」
あれは絵本の内容として描かれたものだから誰でも知っているよ。
とは、言えませんでした。
こうなればとことん梢の思うようにさせてみよう。
それで梢が納得すれば、それでいい。
そう思った。