コトドリ様

そこまで言ってお母さんは口を閉じた。
そしてリビングに重たい空気が立ち込めてきた。
「梢は1年生の頃にイジメられてた」
きっと、親も同じことを考えていたと思う。
でもなにも言わないから、私が言うしかなかった。
あれは梢と私が中学に進学してすぐの頃だった。
昼休憩中に梢が泣きながら教室から飛び出してくるのを見かけたのだ。
『梢、どうしたの?』
驚いてそう声をかけたけれど、梢は私に気が付かずにトイレの中へと駆け込んでしまった。
その後梢のクラスから笑い声が聞こえてきた。
なんだか嫌な予感がして梢のクラスを覗いてみると、意地悪そうな顔つきをした男子生徒ふたりが梢の机に座って菓子パンを食べていた。