気づいてたはずなのに。
見ないふりをしてた。
馬鹿だな、俺……
一瞬でも、身を引こうなんて……
考えてしまった……。
隼人
「……諦められるわけ、ないだろ。」
誰に聞かせるでもなく、
小さく呟く。
隆二が不思議そうに首を傾げる。
隆二
「今、なんか言った?」
隼人
「いや、独り言。」
片想いでもいい……
望愛が誰を選ぶかは、
俺が決めることじゃない。
それでも……
あのネックレスを見て、
胸が締めつけられたこの感情は、
嘘じゃない。
優希のものになったとしても……
笑って幸せそうにしていたとしても……
俺はきっと、好きなままだ。
諦める理由には、ならない。
楽屋のドアの向こうから、
スタッフの声が聞こえる。
スタッフ
「本番、5分前です!」
翔太
「了解。」
翔太が立ち上がって言う。
翔太
「おい、隼人。」
「行くぞ。気持ち切り替えろ!」
隼人
「……ああ。」
立ち上がりながら、
俺はもう一度だけ、心の中で整理する。
望愛は、優希が好き。
だから俺の想いは、届かない。
そう、思い込んだまま。
胸の奥に、
甘くて苦い感情を抱えたまま。
俺はステージへ向かった。
隼人side 終わり



