『そんなこと聞くってことは、好きな人いる?』
『いるけどキスとかは無理かも』
『なんで?』
『ただただ申し訳ない。私にキスされる人、本当かわいそう』
『どんだけネガティブ』
『あと、嫌われたくない、かな』
――好き。だからこそ、嫌われたくない。自分の好きよりも、相手に嫌われたくない思いが強いから、好きな人にこそこの気持ちに蓋をする。
それが私の、人生の中で培ってきた唯一の恋愛観。
『因みになんだけど、したいなって思う人はいないの?』
『え?』
『考えたことない?』
『えーっと……』
けれど、一度だけ。たった一人だけ、考えたことがある。
そもそも、どうして考えることができたのか。その理由は、今もわからないままだけれど――――。
「ねえねえ青崎ちゃんだめ? 久賀野はダメ? 久賀野はアリだよね? ナシとか言ったらぶっ殺す」
どうやら今夜も、相当いい具合に酒が回り始めたらしい。私も、かといって別に、この話題を振られたところで別に嫌な気分になるわけではない。それを知っているから、彼女も毎度話を振るのだろうが。
「俺以前の問題で、こいつが俺のこと好きにならんでしょ」
(……あれ?)



