「そういうお前はどうなんだよ。いい人いねえの」
「いい人だと思ったら、大抵左手薬指は売約済み」
「あるあるー」
本気じゃないからこそ軽くそう言える。自分の中で勝手にアイドル化して、かっこいいだのなんだのと口から出してみたりして。
そもそも自分が恋愛に向いていない体質なのだとわかっていれば、恋愛へ本気になることもない。熱量を注いで疲れることもない。無駄に傷付くこともない。
だから、毎回本気で恋愛している二人のことは、すごいなあと尊敬すると同時、少し羨ましくもある。
(私は、頑張ることをやめちゃったからなあ)
「てか二人はどうなの? あたし、すっごくお似合いだと思うんだけど」
思考の沼に落ちていた矢先、いつもの話が黒瀬から振られた。私が彼女に薦めると同時に彼女もまた、私に薦めてくるのだ。
「よっこいせ。だってさ青崎チャン?」
(チャン言うな)
そして、こっちに限って悪乗りをしてくるのが、何故か私の隣に座り直した、ある意味板挟みになっている久賀野。
「ていうか、そうやって二人並んでる時点で恋人に見えるし!」
「だってさ?」
「年下は対象外」
「大丈夫大丈夫! 恋人通り越して、もはや老夫婦感出てるから!」
「「それは素直に喜べん」」
そもそもこっちは恋愛未経験者。二対一とか勝てる気がしないんだけど。



