久賀野の隣に座るのが合図かのように、黒瀬が恋愛話を始めるのは毎度のこと。
集まる度いつも同じような話をするのだが、結局恋愛に答えなんて見付からない。互いが言いたいことを言い合って、半ば喧嘩腰になりつつ、最終的に笑っている。それが、いつもの同期メンバーの飲み会だった。
「何よ。じゃあ慰めてくれるって言うの」
「そこまでもする予定はねえ。他を当たれ」
そう言いながらジョッキを取り上げようとした久賀野だが、いとも簡単にさらりと躱され、なみなみのビールは一気に黒瀬の胃に収まっていく。それを見た久賀野はというと、絶望の呻き声を上げていた。
(お似合いだと思うんだけどな)
ただ、久賀野はどちらかというと理論的。口は達者だし、頭がいいからすんなり納得がいく部分も多くある。でも真面目過ぎるあまり女心はわからないようで、「いやいやそうじゃないでしょ」と、黒瀬と二人で突っ込むことも多々だ。
反対に黒瀬は、どちらかというと感情的。愛が世界を救うと、本当に思っているタイプだ。
「知ってるわよー。あんたもつい最近振られたらしいじゃない」
「そうなんだよ。キスはまだ早すぎるって断っただけなのに」
(普段とのギャップのせいで、がっつく系女子にモテてしまうんだよなあ)
でも本当にいい人たちだから、二人にはどうか幸せになって欲しいと、心底から思う今日この頃である。



