「彼氏なんて。結婚なんてどうでもいいのよ。ただ信頼できる人が、あたしは欲しいだけなの!」
開始早々の恋愛失敗談とは。これまた酒が進みそうだ。かくいう私も、酒はともあれ恋愛話は大好物。今日はいつにもましてエンジン全開で話すらしい。了承した。
「一緒に住んで、一緒のベッドで寝て、やることやって、デートして。それで『君と結婚は考えてない』ってどういうこと?!」
「セフレ? か、ヒモ希望? てかクズ野郎」
すっぱり言い切ってもいいらしい。承知した。
「だよね! やっぱりそうだよね! ……もう人を信用できない。人間不信になる」
「黒瀬ちゃん黒瀬ちゃん。お得な物件なら、ほらここに」
でも言い切れる関係だからこそ、普段言えないようなことがズバズバ言えた。
久々の空気感に慣れてきてから、斜め前に座る久賀野を両手の平で示す。
「青崎ちゃん、一体どういう了見でこいつを勧めようとしてくるの」
「だって、かれこれ何十回と黒瀬ちゃんの悩み相談を聞いてきてくれたでしょう?」
「確かに、久賀野はいい奴だけどさ……」
「それくらいなら誰にだってするだろ」
「あたしにとっては、ただのゲロ処理担当なんだよ」
「そこまで世話する予定は今後一切ないからな」



