「ねえねえ、今日はどんな本を」
「いい加減にしろよ」
転校生――窪谷 芹は声を荒げた。人の貴重な読書の時間を何度も邪魔してくる彼女に、とうとう痺れを切らしたからだ。
普段物静かな奴が少し声を張っただけ。それだけでか弱く見せている周りの女子たちは酷く驚き怯え、クラスの中心の奴らは「何だよあいつ」「感じ悪」などと陰口を言い始める。
これだから、友情だの青春だのは面倒なんだ。気の合う奴らが寄って集って、一体何になる。
元凶の女子の視線をひしひしと感じながら、スクールバックを担いでさっさと教室を出て行った。
――僕だって好きでこんなところに来たわけじゃない。
陰口をたたく奴らに、よく聞こえるようぼやきながら。



