ここで「また? 何度も読んでて飽きない?」などと言うのが、きっと普通の反応なのだろう。現に過去にも何度か同じような質問をされたことがあるが、皆揃って同じように苦笑いを返すだけ。それ以上の会話が膨らむことは、今まで一度だってなかった。
勿論自分の引っ込み思案や人見知りが原因だということはわかっていたが、性格というものはそう簡単に直せるものではない。それは、他でもない私自身が一番よくわかっている。
けれど黒瀬は、いつもそう言って笑って、茶化すことなく肯定してくれる。だから私も、彼女には唯一この特等席への立ち入りを容認していた。
変に気を遣わなくてよくて、会話をしていても本を読む邪魔にならない空気感。安らぎさえ覚える彼女の傍は、変わり者の私にとっては大変落ち着く場所であり貴重な時間であった。
真面目で頑固で、真剣に話を聞いてくれる人。人の好きなものを決して馬鹿にしない優しい人。あと、ほんのちょっぴり運がない人。
それが私の知る、『黒瀬 雅』という人――。
「青崎ちゃん。占いに興味ある?」



