(あれから十五年が経ちましたね)
もう二度と会えない。聞こえない。
今でも不思議だ。何故、あなたはあんな話を遺したのだろうか。
(他にも、言いたいことがあったならじゃんじゃん言ってくれてよかったんですよ)
傷だらけの指先。袖にシミのついたワイシャツ。黒っぽい擦れたスーツに、黒いネクタイ。そして、いつも少しだけ寂しそうな声。
十五年が経っても尚、それは記憶の断片にずっと残っている。
「いつも、見守っていてくださってありがとうございました」
彼があの続きを遺した意味は、やはりわからない。でもきっと、悩み続ける限り、彼は私の中でずっと生き続けるのだろう。



