物語は、主人公――長部龍生が飛び降り自殺をするところから話が始まる。理由は、最愛の女性を失ったからだ。 でも彼は、決して自暴自棄になって飛び降りたのではない。ある希望を持って、勇気を出して飛び降りた。 彼の目の前に、九色の虹が現れたから――――。 『――愚かな人間よ。お前の望みは何か』 九色の虹の根元にたどり着いた者は、どんな願いでもたった一つだけ叶えることができる。薄れゆく意識の中、頭に響いた声に、男は答えた。ひたすらに願った。 『僕はただ、もう一度、彼女の笑顔が見たいんだ』