衝撃的な自己紹介を受けた私たちは、編集長の弟であり作家の雪ノ平こと『龍ノ平 快慶』の案内の元、部屋のリビングへと通された。
「何か飲む? 外はもうだいぶ暑いでしょ」
「あ。どうぞお構いなく」
「それこそお構いなく」と、コップや飲み物を探す後ろ姿を眺めていると、新堂がそっと耳打ちしてくる。
「あんまり似てないですね。年離れてるせいかな」
「私は……似てると思いますけど」
顔がというよりは仕草が。後頭部をボリボリと掻く様子は、後ろ姿だけ見ていたら若い頃の一石によく似ている。
「ごめん。生憎麦茶ぐらいしかすぐ出せそうにない」
「お気遣いありがとうございます」
早速出してくれた麦茶と一緒に、持ってきた茶請けを出す。「あ。これ好きなヤツだ」と、嬉しそうに受け取ってくれた様子に、ほっと息を吐いた。
「せっかくだからみんなで食べようよ」と、ご厚意で私たちも持ってきた菓子を戴くことに。頬を緩ませながらモグモグと食べている、まるで小動物のような彼らにほっこりしつつ。
(緊張したせいで喉カラカラ……)
取り合えず、第一関門は突破しただろうと、麦茶に口を付けたところで。
「あ。そういえばそれ、イックンのコップだった」
「んぶふっ」
頑張って堪えたおかげで噎せたのは控えめだったが、少し鼻に入った。



