ゆっくりと体を起こしながら、随分と長い夢を見ていた気がすると、ぼそり呟く。
「長部も? 実は私も、ついさっきまで寝ちゃってたんだけど」
そう言って彼女は、楽しそうに笑いながら、その夢の内容を話した。
自分が出版社で働いていたこと。
大好きな本があったこと。
その本の続きが掲載されて、新たに出版されたこと。
出版社を辞めたあとは、年の離れた絵本作家と結婚して、ブックカフェの店長になったこと。
大好きな人の帰りを、今か今かと待ち続けていたこと。
「素敵だと思わない? 自分の人生を捨ててまで好きな人の命を守って、その後生まれ変わって迎えに来てくれるんだよ?」
「もう一度、会ってみたいな」と、嬉しそうに夢人に思いを馳せる彼女の手を、上から押さえ付けるように握る。
それでもこちらを見ようとしない彼女に、なんだか悔しくなって、腹が立って。無理矢理こちらを向かせた。



