思わず呼ばれた名前に、心臓が跳ね上がる。
聞き間違いかと思って顔を上げると、そこにはボロボロになった【虹の探求者】の本。それに挟んであった、色褪せた青い空の写真を手に、涙を流しながら怒る彼女がいて。
「……どう、して……」
ノートパソコンと携帯以外だけではなく、その本と写真も封筒の中には入れられていた。
前者はさておき後者の方は、七回忌を終えたあとの広夜に無理を言って、長部龍生自身がもらったもの。古葉龍青しか知らないこの世界の彼女には、一切関係のないもののはずだ。
「なん……。どうして、お前が……」
「わからない? 命を粗末にしたことを怒ってるんだよ」
「そうじゃ、なくて」
「私だって知らないよ。でも、この写真を見た瞬間に思い出したの。……きっと、私だった人が教えてくれた。夢を見せてくれていたのも、多分その人だと思う」
彼女は、彼女であって、彼女ではない。
そう言い聞かせてきて……言い聞かせても、やっぱり彼女を思う気持ちは変わらなくて。
「……伊代。ううん、青崎」
「……なに?」
「僕が誰か、わかってるのか」
「……ここまで秘密が詰まった引き出しを見せられてもわからなかったら、それこそ【青い青い空同盟】失格でしょう?」
そうだなと、小さく笑った。
……涙が、止まらなかった。



