青い青い空


 何度か声をかけてようやく、彼女の瞳が自分をとらえた。

 ほっと安堵していると、「わかったの」とぼそり。彼女からこぼれ落ちる。


 座り込んだ彼女に視線を合わせてようやく、視界の端で、閉めておいたはずの引き出しが開いていることに気が付く。あそこは、確か……。


「〈愛を送る〉っていうのはね、もしかしたらアルファベットのI(アイ)のことなんじゃないかなって、改めて並び替えたの。そしたら急に雷が落ちて、一気に部屋が暗くなって。……驚いたけど、怖くはなかったよ。電源が入ってて、光ってたから」


 彼女が示したのは、開いたままの引き出し。

 そして、ベッドの上に並び替えられたパズルの答え。


 HIMITSU(秘密) HA()HIKARU(光る)HIKIDASHI(引き出し) NO() NAKA()


 その中へ入れていたのは昨日、右京とかいう眼鏡から渡された封筒の中身だ。

 古葉龍青が生前に使っていたノートパソコンと、見慣れた折りたたみ式の携帯電話。

 常連だった()が仕事をしている姿を見ていた彼女なら、それが一体何なのか。たとえ、【青い空】の下書きのファイルが開いていなくとも、すぐにわかっただろう。


“僕の役目はこれで終わり。あとはどうぞ御勝手に”


 今になってようやく、その言葉の意味を理解するとは。