合わない視線に何かを察したらしい父は、「まさか宵くん、伊代さんの了承もなしに手を出し――」と言いかけたところで、腕の中でもぞもぞと彼女が動き出す。
見つかる前に退散せねばと、父は大急ぎで出勤していった。
「んで? 狸寝入りはもういいわけ」
「こ、こっちの気も知らないで」
少し前から起きていた彼女は、居心地が悪そうにして腕の中から出ていこうとする。
それを引き留めるように、今度は後ろから抱き締めた。
「よ、宵くん」
「いいじゃん。今日休みだろ」
そして再び二度寝のお誘いをかけようとするが、「せっかく宵くんと二人きりなのに」と言われてしまっては、こちらの目も冴えてしまうというもの。
「じゃあ俺といちゃいちゃしてくれんの?」
「そ、そうじゃなくて」
「せっかく二人きりなのに?」
「もう、宵くん」
悪かった悪かったと、両手を離して降参の意を示すと、彼女は「実は、お願いがあって」と切り出した。
「む、無理だったら断ってくれていいんだけど」
「何?」
「よ、宵くんが、絵を描いてるところを見てみたい」
「え」



