昨日もなんだかんだと寝るのは遅かったし、ここ最近忙しそうにしていたから、たまにはこんな日もあっていいだろう。
そうこうしていると、がちゃりと玄関が静かに開く音がする。ああ~と思った時には、抜き足差し足忍び足で一時帰宅をした父と目が合った。
慌てて人差し指を立てると、同じように人差し指を立てながら、そーっとソファー越しにこちらを覗き込んでくる。
「話は、十分できたみたいですね」
腕の中で気持ちよさそうに眠っている彼女を見て、父はほっと安堵の息を吐いた。
仕事道具を一旦取りに戻ってきただけだからと、父はそれだけ確認したら十分だと言いたげにさっさとこの場から立ち去ろうとする。
「父さん」
「はい」
「本当にこれで、よかったと思う?」
「そればかりは、残念ながら僕にもわかりません」
そう言う割には、彼は愛おしそうな顔で頭を撫でてくる。
「だって、それを知っているのは僕ではなくあなた。そして、あなたを選んだ伊代さんですから」
不安なら、幸せにしてあげなさい。幸せにしてもらいなさい。
「その前に、まずはきちんと伊代さんのご両親にご報告をするんですよ。いいですね」
「……わかってるよ」



