カチリとドライヤーの電源を切ると、部屋はしんと静まり返った。
テレビでも点けて待っていればよかったと、立ち上がってドライヤーを片付けに行く。その時鏡に映った自分の顔を見て、心底弟がこちらを向いてなくてよかったとほっとした。
まるで、真っ赤に熟れた林檎のようだったから。
慌てて手で顔を仰ぎながら、台所へと向かう。そういえばアイスでも食べて待っていろと言われたんだと思い出したからだ。多少は体温も落ち着くかも知れない。
「あ。なあ、俺もアイス食っていい?」
「も、もちろん」
顔を赤くした二人が、無言で並んでこたつでアイスを食べている様子は、端から見ればきっと滑稽だったことだろう。黙々と食べる音さえ気になって仕方がなかった私の心臓は、正直それどころではなかったけれど。
「この際だから、言っとこうと思うんだけどさ」
ハイパーカップを四分の三食べ進めたところで口を開いた宵に、思わず身構える。切り出し方からして、恐らく悪口だろうと思ったからだ。
「髪短くした時、勿体ねえって思ってた」
「……え?」
「短い方がいいとか長い方がいいとか、そういうことじゃねえんだけど、ただただ綺麗だったのに勿体ないなって」
「……そ、そう?」



