慌てて脱衣所から飛び出し、そのまま夕食を盛りつけてくれている弟の手伝いへ。二人でテーブルへと着いて、「いただきます」と手を合わせる。
「なあ」
「ん?」
「何かあった?」
「何かって?」
ひしひしと目の前からの視線を感じながら黙々と食べていると、「いや、それを聞いてんだけど」と、流石に痺れを切らした宵が口を開く。
「いつもならいろいろ話しながら食うじゃんお前」
「お、お行儀悪いかなって」
「今更?」
「い、今更だけど」
「じゃあ俺もお前に話しかけない方がいい?」
「そ、それはいやだ」
そう返ってくることがまるでわかっていたかのように、満足そうな顔で「俺も一緒」と、ご飯を一口。大きく開けた口が無防備でかわいくて、思わずクスリと笑みがこぼれた。
「何笑ってんの?」と聞かれ、何でもないよと答える。特に明確な理由などないからだ。ついつい、自分の中から嬉しい気持ちが溢れただけなのだから。
「あっそ? ま、いいけど」と、彼も特にそれについては触れないでいてくれた。
「ただ、普通に心配しただけ。静かだから、何か悩んでんのかなって」
「ごめんね、心配掛けて」
「帰ってきたかと思ったら、挨拶もなしに風呂に行くわ、なかなか出てこないわ」
「ご、ごめん。ちょっと、いろいろあってね」



