いつもなら、弟の成長を喜ばしく思えるところなのに、それがどうも上手くいかない。
背中を押した――それがどういう意味なのか、わかりたくなかったからかもしれない。
「今朝もピヨちゃんに会いに行ったんだけど」
「おい。短時間で会いすぎだろ」
「その時ピヨちゃん、憑き物が落ちたみたいにすっきりした顔してたから」
「誰が憑き物だって……?」
「もしかしたらイックン、一人で泣いてるのかも知れないって思ったんだけど」
「成る程。俺と上手くいく可能性は1ミリも考えていなかったと」
「でも、僕がイックンを一人にはしたくなくて。だから、一人の邪魔してごめんね」
「…………はあ」
弟の成長が喜ばしい。正直、見習わないといけないほどに。
扉を開けたそこには、快慶が膝を抱えて座り込んでいた。電気も点けずに。きっと、帰って一番にここへ来てくれたのだろう。



