ズルズルと、扉を背に座り込む。片手で頭を抱えるようにして、蹲った。
『……ごめんなさい。一石さん』
耳が、痛い。
『……ほんとうに。ごめんなさい』
むねが。いたい。
『クリスマスは、ご一緒できません』
昨日の夜、彼女から電話があった。無心になりたくて、休日の今日もがむしゃらに働いた。
『気になっている人がいます。その人に、誠実に向き合っていきたいので』
それで、何もすることがなくなったらこれだ。情けないったらありゃしない。
一度だけ、どうしても諦めきれなくて冗談交じりに引き留めた。これからの仕事のモチベーション一気に下げやがって、どうしてくれるんだよと。
けれど彼女は、ただただ申し訳なさそうに謝った。『気持ちにお応えすることができなくてごめんなさい』と。
その後は、正直なんて言ったか覚えていない。ただ、いい上司を装っておかないとだけは思って必死だったから、最後に業務連絡をして電話を切ったはず。その必死さが、相手にバレていないことを祈りながら。



