怒らないって言ったのに。まあ怒るのも無理ないか。
佐裕子は「ごめんね」と軽く謝ってから、頭に血が上った野田を宥めながら呟いた。
「古葉龍青の火葬をしたあとすぐにね。多分、彼の心も全てなくなったから、私たちも必要なくなったのでしょうね」
「どうして、その時すぐに何も言わなかった!?」
「やりたいことがあったの。どうしても」
「それが、【青い空】の完成だと?!」
「わかってるんじゃない」と佐裕子は笑った。その笑顔があまりにも嬉しそうで、野田から怒る気力が削がれていく。
「彼の心と同調してたからかしら。どうしても、彼が描いた世界のすべてを、あの子に届けてあげたかったの」
「夜さりの……」
「それなのに……何よ、あの【青い青い空】って! 冗談にしては酷すぎじゃない? そのせいで本当にパニックだったんだから!」
「お、落ち着け、夜さりの……」
それでも、ただ只管完成のために心血を注いだ。それこそが、彼が残した願いだと、そう思ったから。



