反対に、碧龍の隣へと腰を掛けた弟は、かなり不機嫌な顔をしていたが。
そんな彼の注文を取った後、彼女は少しだけ申し訳なさそうな顔をしながら、オーダーを届けにキッチンの方へと向かっていった。
「もしかして、宵クンもケーキ食べたかった?」
「違え」
「ごめんね。ケーキは昨日僕が全部食べちゃって」
「だから違うっつってんだろ」
「僕がここのケーキ奢ってあげるね。一種類ずつでいいかな」
「おい。人の話聞け」
「お金の心配してくれてるの? 大丈夫。これでも一応小説家だから」
「あんましつこいと俺にも考えがあるぞ」
「そうですよ。そもそも彼が気に入らないのはケーキではなく、青崎さんがくれたという点ですから」
そう告げ口をすると、斜め前からはそれはそれは恐ろしい視線が飛んでくる。その隣に座る碧龍はというと、「ああ、そうだったんだ。ごめんね僕がピヨちゃんのこと独り占めして」なんて火に油を注いでくる始末。
けれど、彼は殺気に満ちた目で睨んでくるだけで、それ以上は何も口にしなかった。姉がお冷やを持ってきたから、というのも勿論あるだろうが。



