「おはようございます右京さん。モーニングですか?」
そうこうしていると、見知った二人が喫茶店の扉を開ける。こちらの姿を見つけると、一人は驚いたような表情に、もう一人は物凄く嫌そうな表情になった。
「はい。昨日は会社に泊まりましたので、こちらで朝食を取ってから帰宅しようかと」
「それはそれは、遅くまでご苦労様でした」と、彼女――青崎伊代は碧龍へと視線を向ける。
「快慶くんもおはよう。ごめんねわざわざ来てもらっちゃって」
「ううん。僕の方こそ、昨日はケーキ御馳走してくれてありがとう」
「どういたしまして。それにしても、本当にまさか二人が知り合いだったとは」と、彼女はエプロンを着け始める。どうやらこれからこちらに出勤のようだ。
「それで? 昨日私に渡し忘れたものって?」
「うん。これだよ」
そう言って碧龍は、青色の便箋を手渡した。見たことがあったのか、「あ。もしかしてこれ、昨日私が落としちゃったやつ?」と彼女は尋ねる。
「そうそう。ケーキがあまりに美味しくて、すっかりこのこと忘れてたんだよね」
「ふふ。そっかそっか」
彼女の表情はとても朗かだ。まるで、心の憂いが全て晴れたかのように。



