「青崎さん? 変な顔になってますけど?」
「ちょっと今日寝不足なんです。だから今、気合いを入れようと」
「そんなに眉間に皺寄せちゃうと、せっかくのかわいい顔が台無しですよ?」
(か、かわっ……)
その時ふと、先日の同期の有り難いお言葉を思い出した。
「あれ? 最寄り駅ってもう一個先じゃなかったですか?」
「甘味を買っていくので、ここで降りて歩きます」
「成る程、了解です」
【色難の相:異性にだらしないため災難に遭う】
おかげさまで、今日も糞真面目でいられそうです。
* * *
「んー出ませんねえ」
(埋もれてる可能性大)
とある高層マンションの部屋番号を押してみても、インターホンからはうんともすんとも返事がない。なので、やむなく合い鍵を鞄から取り出す。
「先生の愛人という噂が、まさにここで立証されるとは」
「ないない」
「否定するところがまた怪しい」
「多分見ればわかるかと」
きょとんとした表情に扉を開けた向こうの惨状を見せてあげると、彼は面白いぐらいに顔色を悪くさせた。
「おう。これぞまさしく汚部屋」
「第一に先生の救助。どこかに埋まってるはずだから発掘してください」
「わ、わっかりましたあ!」と、急いで物という物を掻き分け部屋の奥へと入っていく後輩を見送り、取り敢えず買ってきたばかりのアイスキャンデーを冷凍庫に入れようと台所に立ったところで。
「……嘘でしょ」



