「……一つ聞いてもいい?」
「何なりと」
「交通費と謝礼、まだもらってないんだけど」
「おや。何のことでしょう」
「じゃあ払わなくていいから、僕を使って今更【青い青い空】を投函させた理由を教えてよ。死神サン」
「はて死神とは。まさか、僕が古葉龍青の遺言を受け取ったそれだと? このように語っているから」
「わかってるだろうから敢えて言うけど、逆鱗に触れる前に白状した方が身のため」
「これはこれは。君は確か、ずっと無関心を貫いてきていたと思っていたんですがね。碧龍殿」
大きなため息を吐いた僕――ブレース右京、もとい元死神は、口元に笑みを浮かべながら答えた。
「あなたに【青い青い空】を託したのは、その時も申し上げたようにこの世界に不具合を起こさせるため」
古葉龍青もとい長部龍生が全世界から消滅したところで、すぐに青崎伊代の運命が変わるわけではなかった。彼を消滅させ、死以外の力を得た僕が死神ではなくなったとしても、すぐに他の死神がやってくるから。
「古葉龍青が消滅を望んだ時点で不具合じゃないの」
「それを不具合というならば、あなたにお頼みしたのは修復と言えるかも知れませんね」
「僕が手を貸したのは、古葉龍青がそれを望んでいると聞いたからだよ」



