神の力を得た人間の、空を千切った数が百を越えた頃。
『いつまでもここに縛り付けられてはならない。我々は、我々の使命を果たすまで』
神を冒涜する人間を最も嫌っていた劫火の龍が、怒りをあらわにしながら千切った世界に介入する。
緋龍は慎重に彼女へと近付いた。同級生として。表向きは頼れる人間を装って。
彼女は、常に誠実であった。正義感があり、間違いを間違いだと正せる人間だった。
けれど彼女は、やっぱりこの世を去った。
彼女の正しさを不愉快に感じた人間に殺されて。
何度も千切った空の向こう側へと行き、緋龍は彼女と距離を縮めようとした。彼女は簡単に死んでいい人間ではないと悟ったからだ。
歯車が狂ったのか、こんなにも真っ直ぐな人間の命がいとも簡単に散っていくことを、緋龍には理解できなかった。そしていつしか、気付くことになる。心に膨らむ尊敬と、それ以上の思いを。
しかし彼女は、どの世界からも消えていった。
緋龍は、この理不尽さが堪えられなかった――。



