それから後輩の新堂を連れ、数駅の間電車に揺られていた。
「青崎さん、結婚するんですか?」
「……はい?」
飲んだ頭痛薬のせいか。それとも完全に寝不足のせいか。うとうとしてしまいそうになっていた頭は、いきなり投下された爆弾で一気に目が覚めた。ガセにも程があるそのネタは、一体どこから仕入れてきたというのか。本人さえ初耳だ。
「ああいえ、引き継ぐよう言われたので、もしかしてと」
「生憎、その予定は一生ありませんので」
「青崎さん、結婚願望ないんですか?」
「今のところは。この先もしご縁があればその可能性もなくはありませんが」
「そうですよね! よかったー」
どこか人懐っこい犬属性の新堂は、完全な年上キラー。その笑顔一発で、食堂のおばちゃんたちから無料でご飯を大盛りにしてもらっているのを、私は何度か目撃したことがある。
(こんな年にもなって、いちいち敏感に反応する乙女心が本当に憎らしい)
ただチョロいだけなのだが。チョロ過ぎるだけなのだが。



