顔の向きがこちらに変わる。けれど、視線は合わなかった。
「ごめん」
「ん?」
「勝手にして」
「……ううん。大丈夫だよ」
言い方と相まって、それが少しだけ寂しそうに見えて、そっと手を伸ばす。頭を撫でても、嫌がられることはなかった。
「私も、ごめんね」
「? 何が」
「今、宵くんのことすごいかわいいなって思ってるから」
「おねえさまは調子に乗るとすぐこれだ」
そう言って、頭を撫でていた手は払われた。払われたまま握られて、離れない。
「なあ」
「ん?」
「どうして、龍ノ平さんじゃダメだったんだよ」
「……一石さんじゃなくて、私がダメだったの」
「何が」
「気になる人がいるから」



