ガバッと起き上がった弟の顔には、「俺の聞き間違いだよな」「嘘だろ?」と存分に書かれていたが、私はただ、それには笑って首を振った。
「そもそも私は、気持ちを伝えるって言っただけだよ」
「……はっ。やってらんねえ」
心底理解できないと、考えることを放棄した弟は、またほっぺたをくっつけるようにして突っ伏した。つむじが、やっぱりかわいかった。
「ほんと、どんだけ理想が高いんだお前は」
「あはは。まあそういうことなので、クリスマスは家族で過ごしたいなあと思ってます」
「勝手にしろ」
「うん。勝手にするね」
そう答えながら、私も同じように机に突っ伏す。
つむじを見つめながら、ねえと囁いた。
「どうして、キスしたの?」
彼は、何も言わなかった。何の反応も寄越さなかった。
けれど、しようと思えばできたのに、この場から逃げていこうとはしなかった。
だから、辛抱強く待ってみようと、しばらくの間ぼうっと深夜番組を見ていた。
「…………った」
「ん?」
「いやだったんだよ」
「……うん。そっか」



