「今まで少しずつ、本当に少しずつ。気が付かれないように、でも気付いてもらえるように。何度も何度も、ちいさな異物を混ぜてきた。いつかそれが、バグになると信じて」
「快慶くん?」
「だから、彼が直接動き出したということは、きっと運命が大きく変わりつつあるってことだと思うんだ」
「運命って……」
誰のか、とは聞かなかった。長い前髪が割れたそこから、純粋に満ちた瞳がじっとこちらを見つめていたから。
「これ以上のことは、ピヨちゃんは知らなくていい話。でも、聞いてもらえてちょっと満足」
「おかげで私は今、とってももやもやしてるよ」
「ここのケーキ美味しかった。またお願いしたいな」
「いいけど、一つだけ聞かせて?」
ここ最近、ずっとわからないことだらけだ。みんなに意味深なことを言われて、不安だし、心配ではあるけど、それでもやっぱり怖くはなくて。
「その運命が変わった先で、誰かが泣いたり、つらい思いをすることはない?」



